【未来のエネルギー】SFじゃない!「地上の太陽」核融合って何がすごいの?仕組みから最新動向まで徹底解説!

「最近、ニュースで『核融合』という言葉を耳にするけど、一体どんな技術なんだろう?」
「太陽と同じエネルギー源って本当?」「私たちの生活はどう変わるの?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

気候変動対策の切り札として、そして未来の社会を支える究極のエネルギー源として、今、世界中から熱い視線が注がれている「核融合」。

この記事では、夢の技術と言われる核融合の仕組みから、原子力(核分裂)発電との違い、実現に向けた世界の挑戦まで、誰にでも分かるように体系的に解説していきます!

そもそも「核融合」って何?

一言でいうと、核融合は「軽い原子核同士が合体して、もっと重い原子核になるときに、ものすごいエネルギーが生まれる現象」のことです。

これは、私たちの頭上で輝く太陽が、何十億年も燃え続けているのと同じ原理。まさに「地上の太陽」を実現しようという壮大な技術なのです。

核融合発電で主に使われる燃料は、海水中に豊富に含まれる「重水素」と、リチウムという金属から作られる「三重水素(トリチウム)」です。

そのエネルギー効率はすさまじく、なんと核融合燃料わずか1グラムで、石油8トン分ものエネルギーを生み出すことができると言われています。

ここがすごい!核融合エネルギー4つのメリット

現在、実用化されている原子力発電も同じ「核エネルギー」ですが、原子核が分裂する力を利用する「核分裂」であり、核融合とは原理が全く異なります。核融合には、核分裂にはない大きなメリットがあります。

1. 燃料が実質、無尽蔵!

主燃料となる重水素は、海水中に大量に存在します。リチウムも海水や陸地から採掘できるため、資源が枯渇する心配がほとんどありません。エネルギー資源の乏しい日本にとっても、大きな希望となります。

2. 原理的に暴走せず、安全性が高い

核分裂発電のような連鎖反応は起こりません。核融合反応を維持するためには、燃料を供給し続け、超高温状態を保つ必要があります。もし何らかの異常が発生しても、燃料供給を止めれば反応は自然に停止します。コンロの火を消すように、安全に運転を止められるのが大きな特徴です。

3. CO2を排出しないクリーンエネルギー

発電の過程で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を一切排出しません。 カーボンニュートラル実現に向けた、まさに究極のクリーンエネルギーと言えるでしょう。

4. 「高レベル放射性廃棄物」を排出しない

原子力発電で課題となる、数万年単位での厳重な管理が必要な「高レベル放射性廃棄物」を原理的に生成しません。 発生する放射性廃棄物も、比較的放射能レベルが低く、減衰が速いものが中心とされています。

もちろん簡単じゃない!実現への高い「壁」

これほどメリットの多い核融合ですが、実現は簡単ではありません。太陽の中心部と同じ環境を、この地球上で作り出す必要があるからです。

  • 超高温・超高圧の世界
    原子核同士を合体させるためには、プラズマ(原子が電子とイオンに分かれた気体のような状態)を1億度以上という、太陽の中心部すら超えるほどの超高温にする必要があります。
  • どうやって閉じ込める?
    1億度のプラズマは、どんな頑丈な容器も一瞬で溶かしてしまいます。そのため、プラズマが壁に触れないように、「磁力のカゴ」のようなもので宙に浮かせて閉じ込める必要があります。この「磁場閉じ込め方式」が現在の主流で、国際プロジェクトITER(イーター)などで研究が進められています。
  • その他の課題
    他にも、核融合反応で発生する強力なエネルギーに長期間耐えられる炉壁材料の開発や、実験炉の建設にかかる莫大なコストなど、乗り越えるべき技術的・経済的な課題が多く残されています。

世界の開発競争はヒートアップ!日本の現在地は?

核融合の実現は、一つの国だけで成し遂げられるものではありません。世界が知恵を結集して挑む、人類共通のプロジェクトとなっています。

  • 国際プロジェクト「ITER(イーター)」
    日本、EU、アメリカ、ロシアなど7つの国と地域が協力し、フランスで建設を進めている巨大な実験炉です。核融合エネルギーの実現可能性を最終的に証明することを目的としており、2025年頃の運転開始を目指しています。
  • 加速する国家間の開発競争とスタートアップの台頭
    一方で、近年は各国での開発競争も激しくなっています。アメリカやイギリスが2040年代、中国が2030年代の実用化を目標に掲げるなど、国家戦略として開発を加速させています。
    さらに、日本でも京都大学発のスタートアップ「京都フュージョニアリング」のように、独自の技術力で商用炉の実現を目指す民間企業の動きも活発化しており、新たなフェーズに入っています。

もちろん、日本もこの分野で世界をリードする存在です。量子科学技術研究開発機構(QST)の「JT-60SA」は、ITERを支援し、将来の原型炉開発に向けた重要なデータを提供する役割を担っています。 日本は2050年頃の実用化を目指し、官民一体となって研究開発を進めています。

まとめ:未来を照らす「地上の太陽」

多くの課題が残されているものの、世界中の科学者や技術者の努力によって、核融合エネルギーの実用化は着実に前進しています。

安全で、クリーンで、そして燃料の心配もないこの究極のエネルギーが実現すれば、人類はエネルギー問題や環境問題から解放され、社会は大きく変わるでしょう。

私たちの未来を明るく照らす「地上の太陽」が昇る日を、楽しみに待ちたいですね。

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