「経営情報システムって、なんだか専門用語が多くてとっつきにくい…」
「どこから手をつけていいか分からない…」
中小企業診断士の勉強を始めたばかりの方、特にITに馴染みのない方にとって、「経営情報システム」は大きな壁に見えるかもしれません。
しかし、ご安心ください!この科目は、論点の全体像をしっかり掴むことで、一気に学習しやすくなります。暗記が中心だからこそ、体系的に理解すれば安定した得点源にできる科目でもあるのです。
この記事では、中小企業診断士の一次試験科目「経営情報システム」の主要な論点を、2つの大きなカタマリに分けて、誰にでも分かるようにやさしく解説します。学習の道しるべとして、ぜひご活用ください!
まずはITの土台から!「情報通信技術に関する基礎知識」
この分野は、文字通りITのキホンのキ。システムを理解するための土台となる知識です。試験では全体の約6〜7割を占める最重要エリアなので、しっかり押さえましょう!
1. ハードウェア・ソフトウェアの基礎 ~パソコンの中身と司令塔の話~
まずは、私たちが普段使っているパソコンがどんな仕組みで動いているのか、というお話です。
- ハードウェア: パソコン本体やキーボード、マウスといった「目に見える機械」のことです。特に、コンピュータの頭脳や手足となる五大装置(制御・演算・記憶・入力・出力)の役割は頻出です。
- ソフトウェア: 機械に命令を出す「プログラム」のこと。WindowsやmacOSのような、パソコン全体を管理する司令塔「OS(オペレーティングシステム)」と、WordやExcelのように特定の作業を行う「アプリケーションソフト」の違いを理解しましょう。
2. データベース ~膨大な情報の整理整頓術~
企業には、顧客情報や売上データなど、膨大な情報が眠っています。これらをただ保存するだけでなく、いつでも取り出せるように整理整頓しておく仕組みが「データベース」です。
図書館の蔵書管理をイメージすると分かりやすいかもしれません。ここでは、データを効率よく管理する「DBMS(データベース管理システム)」や、データの重複をなくしてスッキリさせる設計手法「正規化」が重要キーワードです。
3. ネットワーク ~コンピュータ同士のおしゃべりのルール~
今や、コンピュータが1台で完結することはほとんどありません。インターネットを通じて、世界中のコンピュータと繋がっています。
ここでは、社内など限られた範囲をつなぐ「LAN」と、遠く離れた拠点間をつなぐ「WAN」の違いや、インターネットで世界共通の”お作法”となっている通信ルール「TCP/IP」の仕組みを学びます。私たちが当たり前に使っているWebサイトの閲覧やメールの送受信が、どんな技術で成り立っているのかを知る分野です。
4. 情報セキュリティ ~会社の情報を守るための”鍵”と”盾”~
ITが便利になればなるほど、ウイルス感染や情報漏えいといったリスクも高まります。企業の持つ大切な情報資産を、あらゆる脅威から守るための知識が「情報セキュリティ」です。
- 情報セキュリティの3大要素(機密性・完全性・可用性)
- 通信内容を盗み見られないようにする「暗号化技術」
- 外部からの不審なアクセスをブロックする「ファイアウォール」
など、会社の情報を守るための”鍵”や”盾”となる技術や考え方を学びます。
ITを経営の武器に!「経営情報管理」
ITの基礎を学んだら、次はその知識をどうやって経営に活かすか、という診断士らしい視点が問われる分野です。
1. 経営戦略と情報システム ~ITで会社を強くする作戦会議~
「売上をアップさせたい」「コストを削減したい」といった経営課題を、ITを使ってどう解決していくかを考える分野です。
経営目標を達成するためのIT戦略の立て方や、ITを活用して業務プロセスを根本から見直す「BPR(業務プロセス改革)」などが主なテーマ。まさに、ITに強いコンサルタントになるための知識です。
2. システムの開発・運用 ~新しいITツールを作って育てる方法~
会社に必要な情報システムを、どのように企画し、開発し、安定して使い続けていくかを学びます。
計画通りにきっちり進める「ウォーターフォールモデル」と、短いサイクルで開発と改善を繰り返す「アジャイル開発」といった、代表的な開発手法の違いは頻出論点。プロジェクトを成功に導くための管理手法も重要です。
3. 業務システムとソフトウェア ~仕事がはかどる便利ツールの世界~
世の中には、企業の仕事を効率化するための様々なソフトウェアパッケージが存在します。
- ERP: 会計・人事・生産・販売といった会社の根幹業務をまとめて管理する統合システム。
- CRM/SFA: 顧客情報を管理し、営業活動を効率化・強化するシステム。
こうしたアルファベット3文字の用語がたくさん出てきますが、それぞれの「目的」と「特徴」をセットで覚えるのが攻略のコツです。
4. IT関連の法律・ガイドライン ~ITを使う上での社会のルール~
ITを活用する上では、法律や社会のルールを守ることが大前提です。
自社で開発したソフトウェアの権利を守る「知的財産権(著作権、特許権など)」や、お客様や従業員の個人情報を適切に取り扱うための「個人情報保護法」など、企業経営に直結する法律の概要を学びます。コンプライアンス意識が問われる、診断士として必須の知識です。
まとめ
いかがでしたか?
「経営情報システム」は、一見すると難解な用語のオンパレードに見えるかもしれません。しかし、今回ご紹介したように、「ITの基礎知識」と「ITの経営活用」という2つの大きな視点で整理すれば、今自分がどこを学んでいるのかが明確になり、知識が定着しやすくなります。
この科目をマスターすれば、IT化に悩む多くの中小企業の力になれる、頼れる診断士に一歩近づけるはずです。ぜひ、このマップを片手に、焦らず一歩ずつ学習を進めていってください。応援しています!


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